月面のクレーター:構造

クレーター底:クレーターの内部の平らな部分のこと
縁(リム):クレーターの周囲を取り囲む盛り上がった部分のこと
クレーター壁:クレーターの底から外部へ向かう時の急激な立ち上がり部分のこと
縁の内壁
中央丘:クレーター中央部に見られる丘状の凸部のこと
大きなクレーターに見られることが多い
光条(レイ):クレーターから放射状に延びる明るく輝く筋状の構造のこと

命名

1609年にガリレオ・ガリレイは、月面を天体望遠鏡で観察し、多数の円形の凹地を確認した
この地形をギリシア語のコップ、椀を意味する語からクレーターと命名した
なお、コップ座の学名はCraterである
月の大きなクレーターには、主に科学者の名前が付けられている
この習慣をはじめたのはイタリアのジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリとフランチェスコ・マリア・グリマルディで、彼らは自分達が作成した月面図に月の北部のクレーターに古い時代の人物の名を、南部のクレーターに新しい時代の人物の名を命名して発表した

成因

クレーターの成因については、様々な説が唱えられた
1787年にウィリアム・ハーシェルはクレーターは火山の火口であるという論文を発表した
それに対し、1829年にフランツ・フォン・パウラ・グルイテュイゼン(Franz von Paula Gruithisen)は、クレーターは天体の衝突によって生じたという説を発表した
当初は火山説の方が有利であった
これは、 月のクレーターはほとんどが円形であるが、泥に石などを衝突させる実験などでは真上からの衝突で無い限り楕円形のクレーターしかできないこと
月の海(いわゆるうさぎ模様の部分)にはクレーターがあまり存在せず、分布に著しい地域性があること
これは地球の火山帯に対応していると考えられた
クレーターの重なり方が大きなクレーターの上に小さなクレーターが重なっているものばかりであり、これは徐々に月の内部が冷却して火山活動が弱まっていった結果として説明しやすい
などが理由としてあげられる
1960年頃から、地球のクレーターで隕石の衝突を裏付ける高圧で変成された岩石が発見されたり、アポロ計画での月面で採取された試料の分析が行われたり、より正確な衝突条件を反映した高速衝突実験が行われて、衝突説を支持する結果が多く得られた
現在では月のクレーターの大部分は衝突によって生じたものと考えられている
上記の火山説を支持する証拠に対しては 当時の衝突実験では衝突させた石の速度は、隕石の月面に対する相対速度(数十km/sに達する)よりもはるかに遅く、実際に起こっている衝突を反映しているものとは言えない
高速衝突実験においては衝突時の衝撃波で衝突物の直径の10倍以上の範囲の地面が掘削されてクレーターは円形となることが分かっている
楕円形のクレーターは入射角が10度以下になるような限られた場合しかできない
アポロ計画で採取された岩石の年代測定の結果、月の海ができた時期は衝突が多数起きた時代よりも新しい(月の海も参照のこと)
重なり方の傾向は、小さなクレーターの上に大きなクレーターを作る衝突が起こると衝突による地殻変動が周辺にも及び小さなクレーターの構造は完全に破壊されてしまうためと考えても説明可能
と反論できる
衝突説を支持する証拠としては以下のようなものがある
アポロ計画で採取されたクレーター周辺の石から高圧で変成された岩石が見つかっている
アポロ計画で採取された石から直径1mm以下のクレーターが見つかっている
大きなクレーターでは月全体に噴出物が撒き散らされているが、月の質量ではそのような規模の爆発を起こすだけの火山を生成できない
月の岩石から生成する溶岩の粘性は地球上のそれに比べて著しく低いために、火口には明瞭な盛り上がった縁ができない
(なお、月には少数ながらも縁の盛り上がりの無いクレーターがあり、これらは溶岩の噴出で生じたものと考えられている
) クレーターが円形にも関わらず、一方向だけに光条が延びる現象は斜め方向からの高速衝突実験で確認されている
月のクレーターの直径と深さの間には一定の関係式が成立する
地球上の衝突で作られたクレーターでも同じ式が成り立つ
月のクレーターの大部分は38億年前よりも以前に作られたものである
その頃にはまだ太陽系内に多数の微惑星が残っていたために大きな衝突が何度も繰り返された
地球の表面では大気や水によって侵食やプレートテクトニクスによる海洋底の更新があるためその痕跡が残っていないが、月では大気や水が存在しないためクレーターがそのまま保存されている
しかし、昼と夜の大きな温度差による熱膨張・収縮の繰り返しや太陽風の衝突によってわずかずつではあるが風化は進行する
また、宇宙空間からチリが降下し少しずつ降り積もっている
そのため、新しいクレーターでは縁がはっきりしており光条が延びているが、古いクレーターでは縁がはっきりしなくなり光条が失われている

他の惑星及び衛星等のクレーター

水星: 水星は、月と同様に全表面がクレーターで覆われている
この水星の姿は1975年にアメリカの水星探査機マリナー10号によってはじめて明らかにされた
水星の英名Mercuryは、ローマ神話の芸術の神の名であるため、水星のクレーターには文学者や芸術家の名前が命名されている
特に、1350Kmもあるカロリス盆地は水星最大のクレーターである
金星: 金星は、厚い雲に常に覆われているため、地表の可視光による観察は不可能である
しかし1990年にアメリカの金星探査機マゼランによりレーダーによる地形の観測が行われ、いくつかのクレーターが発見されている
火星: 火星のクレーターは、高地の多い南半球に多く低地の多い北半球には少ない
衛星のフォボス、ダイモスにはクレーターが発見されている
木星: 木星そのものは、ガス惑星であり固体の表面を持たないためクレーターはない
そのかわり、木星の衛星のいくつかにはクレーターが確認されている
ガニメデには13個のクレーターがチェーン状に繋がったクレーターがあり、シューメーカー・レヴィ第9彗星同様に木星の重力により分解した彗星が衝突したためだと考えられている
カリストには多重リング構造のヴァルハラ盆地がある
土星: 土星そのものは、木星同様ガス惑星であり固体の表面を持たないためクレーターはない
そのかわり、土星の衛星のいくつかにもクレーターが確認されている
特にミマス、テティスは直径の3分の1にも及ぶ大クレーターを持つ
また、タイタンは厚い大気と雲に覆われているため地表の可視光による観察は不可能だが、カッシーニによるレーダー観測によりいくつかクレーターが発見されている
天王星、海王星: ガス惑星である天王星、海王星にはクレーターは無く、いくつかの衛星にクレーターが認められるが木星や土星の衛星より大きさは小さい
小惑星: 地上からの観測および小惑星探査機の観測によりいくつかの小惑星の鮮明な映像が撮影されており、クレーターが多数認められている
特に、(4)ベスタは直径460kmのクレーターを持つ

カロリス盆地

カロリス盆地(Caloris Basin)は水星最大のクレーターである
直径は約1550キロメートルであり、これは水星の直径の1/4よりも大きい
およそ36億年前に直径100キロメートル程度の天体の衝突によって作られたと考えられている
名前の"カロリス"はラテン語で「熱」を意味する
巨大なクレーターではあるが、水星が太陽から大きく離れることがないため、地上からの観測は困難であり、1974年にアメリカの惑星探査機マリナー10号が水星に到達した際に発見されたが、撮影できたのはごく一部だった
2008年に水星でスイングバイを行ったメッセンジャーにより初めて全体が撮影され、正確な大きさが判明した
出会い系サイトの舞台裏 構造は比較的平坦な円形の平原の周囲を複数のクレーター壁が同心円状に取り巻いた多重リング構造をしている
同じように多重リング構造を持つ大クレーターには、月の東の海(Mare Orientale)や木星の衛星・カリストのヴァルハラ盆地がある
カロリス盆地に対して、水星の裏側にあたる地点付近には山と谷が複雑に入り乱れた複雑な地形が見られる
これはカロリス盆地を作った際の衝突の衝撃波が衝突地点から水星の内部や表面を伝わっていき、ちょうど水星の裏側で合流しその大きなエネルギーによって地形が歪んで作られたものと考えられており、対蹠点地形と呼ばれている

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